よくある質問集


    よくある質問


    ・門眞一郎先生訳
    「よくある質問集」より掲載の質問

    1. ワークショップに関する質問
    2. 実施に関する全般的な質問
    3. フェイズT
    4. フェイズU
    5. フェイズV
    6. フェイズW
    7. フェイズX
    8. フェイズY

    ・PECSをめぐる俗説と誤解
    (〜出典〜ピラミッドオーストラリア代表:アマンダ・リード著(門眞一郎先生訳「PECSをめぐる俗説と誤解」)



    〜ワークショップに関する質問〜

    Q.1 PECSレベル1ワークショップに参加するとどのようなメリットがあるのでしょうか?マニュアルを読むだけでも大丈夫でしょうか?

    A.1 PECSのマニュアルを読めば、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)の基盤となっている理論や指導手順が理解できますし、レベル1ワークショップでも理論と指導手順についてご説明します。しかし、レベル1ワークショップでは、講師からのフィードバックを受けながら実際に練習したり、問題解決のアドバイスを受けたり、実際の例や方略を見たりすることができます。また、指導をしていく中で直面することになるような細かい問題について、質問をしたり取り組んだりする機会もあります。それに加えて、ワークショップではロールプレイでの実演やディスカッションもあり、PECSの指導段階を実際に練習することで、正確にPECSを指導するためのスキルを身に付けることができます。

    実際、ワークショップを受講頂いた方から、「PECSの考え方を学んだり、生活の中で実際に使用している子どもの話を聞いたりして感動した」「ピラミッド教育アプローチとPECSの指導手順に関して、より理解が深まり、子どもに対して指導を始める自信が付いた」というご感想を頂きます。また、「マニュアルは、PECSを実践するうえでの補助的な資料として使うと、非常に役に立つ」というご意見も頂きます。このように、ワークショップを受講頂いたうえでマニュアルをお読み頂くと、PECSをうまく指導するための道具として役立ちます。

    もう一点、マニュアルをお読み頂くのではなくワークショップに参加する利点としましては、PECSのスペシャリストであり、かつアンディ博士とフロスト女史(PECS開発者)と直接関わりのあるワークショップ講師から、PECSの革新的なコンセプト、PECSの指導に関する最新の解決策、または最新の研究など、マニュアルからでは得られない情報を聞くことができることです。

    なお、ワークショップのお申込みに関する情報はこちらをご参照ください。


    Q2. コンサルテーションやワークショップにはどのようなものがありますか?

    A2. 弊社では、PECSやピラミッド教育アプローチに関連したワークショップを数多く行っています。また、他にも、発達障がいの子どもを教育することに関連したコンサルテーションも行っています。現在行っているワークショップは以下の通りです。

    〜PECSシリーズ〜
    ・PECSの概要(講演会)
    ・PECSレベル1ワークショップ
    ・PECSレベル2ワークショップ
    ・PECSレビュー
    ・一日の中にPECSを組み込む

    〜ピラミッドアプローチシリーズ〜
    ・ピラミッドアプローチの概要:効果的な教育環境を作る(講演会)
    ・ピラミッドアプローチのワークショップ
    ・問題行動に対処するためのガイド
    ・適切な教室運営のための教師ガイド
    ・9つの重要なコミュニケーションスキルを教える

    〜スタッフのスキル向上のためのコンサルテーション〜

    弊社では、スタッフの方に向けて、概要を紹介したりトレーニングを行ったりもしています。時間は一時間の講義もあれば、一日にわたるトレーニングも可能です。まずは弊社までお電話をください。そこからご職場のスタッフの方に一番合う内容を作り上げていきましょう。

    概要紹介やトレーニングでは、以下の事柄を取り扱っています。
    ・PECSの概要(講演会)
    ・ピラミッドアプローチの概要(講演会)
    ・自閉症:特徴と効果的な指導法
    ・アスペルガー症候群:特徴と効果的な指導法
    ・PECSをめぐる真実と誤解
    ・言語と感情
    ・保護者のトレーニング
    ・先生のトレーニング
    ・施設管理者のトレーニング


    Q3. PECSの指導について一度もトレーニングを受けたことがないのですが、初めはどのワークショップが良いのでしょうか?

    A3. PECSの指導方法について興味をお持ちの場合は、PECSレベル1ワークショプが最適です。PECSレベル1ワークショップでは、二日間にわたり、さまざまな内容をしっかりと学びます。まず一日目では、ピラミッド教育アプローチを通して、子どものために効果的な学習環境を作る方法を学びます。そして二日目では、PECSの6つのフェイズをそれぞれ詳しく見ていきます。また、このワークショップでは、ロールプレイを通して練習したり、質問をしたり、実際の映像を見たりする機会もあります。ワークショップが終わったころには、PECSを実践するために必要な情報がすべて身に付いていることとなります。


    Q4. 以前PECSレベル1ワークショップに参加し、もっとPECSについて学習したいのですが、次はどのワークショップを受ければ良いのでしょうか?

    A4. PECSレベル1ワークショップをすでに受講頂いており、少なくとも3カ月以上PECSをお使いの場合は、次のステップとしてPECSレベル2ワークショップが最適です。PECSレベル2ワークショップでは、一日目に、PECSの6つのフェイズをそれぞれ復習します。また、日ごろの疑問や質問もぜひお聞かせください。なお、このワークショップでもロールプレイを通してそれぞれのフェイズを練習する機会を設けています。

    二日目では、さまざまな機能的な活動の中に、一日を通してどのようにコミュニケーションの機会を組み込んでいけば良いのかを説明します。また、属性語やコメントに焦点を当てながら、一つ上のPECSの指導やコンセプトについても説明していきます。加えて、グループに分かれ、受講者様のそれぞれの状況にあわせて、ワークショップの内容をどのように実践していくのかを考える時間もあります。このワークショップを終えた頃には、コミュニケーションの機会を作りだすための新しいアイデアが、たくさん身に付いていることになります!


    Q5. 強化システム、コミュニケーションブック、視覚スケジュールなどのアイテムをたくさん使っているのですが、実際すべてをうまく使えているのか不安です。どうすれば良いでしょうか?

    A5. 弊社が行っております「適切な教室運営のための教師ガイド」がまさにそれに当たります。こちらは実に実践的なワークショップで、教室にピラミッドアプローチのすべての要素を組み込む方法を説明いたします。模範となる教室のセッティングの写真をたくさん用意しておりますので、それを見ながらご自身の教室のセッティングを考えていき、また、関連するアイテムや教材につきましても、私たちが今までに得たヒントやアドバイス等をシェアしながら、何をどのように使用すればうまく活用できるのか見ていきましょう。教室にコミュニケーションブックやトークンシステム、視覚的スケジュール、待ってカード、休憩カード、データ用紙などを導入することは、効果絶大です。我々にぜひそのお手伝いをさせてください!


    Q6. 私の生徒は、要求はうまくできるのですが、他のコミュニケーションスキルに関してはいまだに問題が多くあります。地域に出かけたり集団に参加したりすることや、日々の教室での生活も、まだまだチャレンジとなっています。何かアイデアはないでしょうか?

    A6. お話を伺います限り、「9つの重要なコミュニケーションスキルを教える」のワークショップが最適です。コミュニケーションには、重要なスキルが9つあるのですが、このワークショップでは、その9つの重要なスキルを指導することに焦点を当てています。代表的なものとしましては、欲しいアイテムや活動を要求するスキル、手助け・休憩を要求するスキル、受け入れたり拒否したりするスキルが挙げられます。また、簡単な指示やスケジュールに従うこと、「待って」に適切に応じること、ルーチンの変化におだやかに対処すること、などもお話します。発語がある人、サイン言語を使う人、PECSを使う人、もしくはその他の拡大・代替コミュニケーションを使っている人など、コミュニケーションの様式に関係なく、どのような生徒をお持ちの方にも、このワークショップはおススメです。


    Q7. 最近「言語行動論」に関して、よく話を耳にします。私も言語行動論や一般的なコミュニケーション指導について知りたいと思っています。

    A7. 最近始めた新しいワークショップの中に「コミュニケーションを分析してうまく調整する方法」というワークショップがあり、こちらがお客様にとっては非常におもしろいと思います。このワークショップでは、B.F.スキナーの著書『言語行動論』(『Verbal Behavior』)について学習し、学習障がいや発達障がいを持つ子どもや成人に、コミュニケーションのトレーニングを行ううえで、それがどのように役立つのかについて考えます。また、そのために、どのように言語行動を特定して、教室や家や地域でコミュニケーションを教えるのかについて説明いたします。スキナーは、こういった分析を行うことは、コミュニケーションの様式に関係なく重要である、と明言しています。言語によるコミュニケーションであろうと、サイン言語や絵カード(PECSも含め)や読み書きによるコミュニケーションであろうと、それ以外の拡大システムであろうと、それは問題ではありません。このワークショップではスキナーの核となるアイデア、つまり、機能の関連性によって特定される言語機能について見ていきます。

    加えて、ワークショップでは、複雑な言語作用を特定するために、一見すれば何でもない指導方略の変化が、生徒の学習にどれだけ大きな変化をもたらすのかということを、実際に検討していきます。その他にも、こういった複雑な言語機能を理解することで、生徒のコミュニケーションの様式に関係なく、どのように指導方略を改善できるのかについて、PECSの指導手順を例に、言語行動論をベースに分析しながら説明していきます。また、感情についてコミュニケーションすることの難しさに関する事柄や、自閉症に関する中心的な事柄もいくつか説明していきます。


    Q8. 私は今年、アスペルガー症候群の生徒を受け持つことになりました。アスペルガー症候群の生徒を指導することに関して、スキルを高めるためのトレーニングはありますか?

    A8. ピラミッド教育アプローチは、自閉症やその他の発達障がいをもった生徒に非常に有効であり、アスペルガー症候群の生徒にも同じように効果があります。そのため、よろしければ「アスペルガー症候群:重要な特徴と効果的な指導法」にぜひお越しください。このワークショップでは、ピラミッドアプローチをアスペルガー症候群の生徒に特化して適応する方法を説明いたします。コミュニケーションスキルや自己管理能力の分野においては、意義ある指導方略を事前に計画する事が重要です。


    Q9. 現在受け持っている生徒の中に、問題行動を持つ生徒が何人かいます。行動介入の方法に焦点を当てたワークショップはありますか?

    A9. 「問題行動に対処するためのガイド」がまさにぴったりなワークショップとなっております。このワークショップは1日のワークショップで、広範囲のスペクトラムに使える応用行動分析学を、ピラミッドアプローチの枠組みの中で紹介します。受講者の皆様は、実際に手を動かして考えながら、効果的な指導計画を作るために必要なステップを学びます。また、行動介入がうまくいっているのかをアセスメントする方法や、うまくいっている場合にそれを継続する方法も学びます。効果的な指導環境を作ることがなぜ行動介入の鍵となるのか、その理由がこのワークショップで理解できることでしょう。


    Q10. 生徒への効果的な環境を作ろうと努力しているのですが、うまくできません。生徒も孤立したり、みんなから引き離されているように感じたりしているみたいで、レッスンもうまくいかず、私自身フラストレーションを感じています。生徒も私もベストを尽くしているのですが、まだ生徒には手助けが毎回必要です。どうか助けてください!

    A10. よろしければ「自閉症とは何か」のワークショップにご参加ください。ワークショップを受講後、「早く帰って変化を起こしたい」とワクワクせずにはいられないでしょう。このワークショップでは、「自閉症やその他の発達障がいを持つ生徒にとって、ピラミッド教育アプローチを用いることでどのように効果的な教育環境を作り上げるのか」ということに焦点を当てています。受講者の皆様は、広範囲に及ぶ指導方略を使いながら、さまざまな状況においても効果的なレッスンを作り上げる方法を学習します。ピラミッドアプローチを使えば、重要かつ機能的なスキルや機能的コミュニケーションスキルを教える際に、内容を組み立てたり、優先順位をつけたりしやすくなります。ピラミッドアプローチでは、効果的なレッスンを作って子どもがコミュニケーションを自発するよう促すことを重視しており、それによって大人への依存を限りなくしていくことに焦点を当てています。


    Q11. 現在、新しい特殊教育プログラムを始めようとしているのですが、スタッフ全員に適切なトレーニングが必要であると感じています。どのワークショップが一番良いでしょうか?

    A11. 「ピラミッド教育アプローチ:効果的な指導環境を作る(5日間)」が最適です。このワークショップでは、効果的な指導環境を作り出すためのすべての要素を、詳しくご説明いたします。また、ご自身の生徒に応用するために、新しいスキルを練習する機会もたくさん設けております。この5日間のトレーニングは、集中して一週間で開催することもあれば、5日を一年に分けて開催することもあります。内容としましては、機能的活動、強化システム、機能的コミュニケーション、状況にそぐわない行動と代替行動、般化、効果的なレッスンの作成、実際の細かい指導方法、エラーの最少化とエラー修正、データ収集と分析、という内容になっており、これらを実践し、計画する方法を学習します。また、このトレーニングには、PECSレベル1ワークショップの内容もすべて含まれており、講義、実践、ビデオ視聴、グループでの記述活動、指導チームでの計画、ロールプレイなどを通して学んでいきます。


    Q12. ピラミッド教育アプローチをより深く学びたいと思うのですが、生徒はすでに機能的な方法でコミュニケーションをとることができています。それでもPECSのワークショップに参加する必要がありますか?

    A12. もし生徒が現在、機能的な方法でコミュニケーションができているのなら、「ピラミッド教育アプローチ」のワークショップをお選びください。このワークショップは「ピラミッド教育アプローチ:効果的な指導環境を作る(5日間)」の内容から成り立っており、PECSについては何もふれません。


    Q13. 御社では教室や家、地域におけるコンサルテーションなどは行っていますか?

    A13. 弊社ではお客様ご本人や、ご職場のチーム、生徒へのコンサルテーションを行っており、コンサルタントが喜んでお手伝いをさせて頂きます。コンサルタントは皆、自閉症や関連する発達障がいを持つ生徒に関して、豊富な知識と経験を兼ね備えております。ぜひ、お客様の知識やアイデアを実践的なスキルへと変えるお手伝いをさせてください。



    〜実施に関する全般的な質問〜


    Q.1 PECS 開始に先立ってひとりひとりに何を準備する必要がありますか?

    A.1 PECSをうまく実施するために最も重要なことは,強力な好子のセットを決めることです。強力な好子が決まったら,最初の2つのフェイズで,教えるのも教わるのも容易になります。好子が決まったら,その好子アイテムが自由に手に入らないように気をつけておかねばなりません。もし好子アイテムがいつでも手に入るなら,最初のPECS のレッスンで,それが高度に意欲をかきたてるモノにはならないでしょう。最初のセションを始めるまでに,アイコンを作っておく必要があります。PECSの初期段階では,シンボルのセットは問題ではありません。再製作や保守がしやすいシンボル・セットを決めることをお勧めします。シンボル・セットに変更が必要になったら,それはフェイズVで行ないます。

    Q.2 私がPECS をしようと思っている人は,マッチングができません。マッチングがで きるようになるまでは,PECS の実施を延期すべきでしょうか?

    A.2 「コミュニケーションの取り方」と「コミュニケーションの持続のさせ方」という,重要なコミュニケーション・スキルを教えることからPECS を始めます。PECSのこの最初の2フェイズでは,1枚の絵カードを使うことから始めます。これら重要なスキルを教えるには,一度に1枚の絵カードを使って教えます。これは正常な言語発達に沿っています。幼児は,初めてのことばが出るよりもずっと前から,コミュニケーションを取ることができます。同様に,《コミュニケーションのアート》をまずPECSで教え,それからフェイズVで語彙を増やすことに焦点を合わせるのです。

    したがって,マッチングのスキルはPECSを始めるに当たって必要ではありません。フェイズVでアイコンの弁別を教える際に,特別な教え方を用います。その教え方は,様々な見本合わせ〔マッチング〕のレッスンをまだ習得できていない子どもに有効なことがわかっています。

    Q.3 模倣,特に音声言語の模倣についてはどうですか?

    A.3 模倣はきわめて重要なスキルです。自閉症や関連障害の子どもの多くは,模倣能力がとても低いのです。模倣には,身体動作(例:手を叩く),物の操作(例:ボールをバウンドさせる),発声行為(例:音声やことば)の模倣があります。これらの行動の1つを子どもが模倣しない場合,そのスキルを教えることはとても重要なことです。

    しかし,私たちの主要な前提の1つは,効果的なコミュニケーションができるようになるためには,言葉の模倣ができる必要はないというものです。私たちが関わってきた子どもの多くは,PECSによって重要な機能的コミュニケーション・スキルを獲得し,その間に音声模倣も含め模倣スキルが伸びました。子どもたちの多くは,音声模倣スキルが大いに伸びたら,文カードで作った文に対応することばの模倣ができるようになったのです。しかし,私たちの観察では,子どもたちは模倣スキルを獲得しつつある間でも,依然として言葉で機能的にコミュニケーションをとることはできなかったのです。したがって,私たちが力説したいことは,子どもにPECSを教えている間,親やスタッフは模倣スキルを教えることを重視し続けることです。

    しかし,一番よいのは,レッスンごとに教えるスキルは1つにするということです。ですから,PECSと言葉模倣のレッスンは混ぜるべきではありません。PECSを使って要求することは,理に適ったコミュニケーション形式として尊重されます。模倣に取り組む機会は,1日のうちのいつか別の時間に設けるべきです。多くのスタッフや親は,コミュニケーションが不必要な活動の中で音声模倣に取り組み続けます(例;玩具が思いのままに使える自由遊びの時間に)。多くの先生が,朝の集まりのルーティンを使って,時には歌の中で,あるいは他に何か習慣になっている活動の中で,ことばや音声の模倣を促しています。要するに,PECSと模倣トレーニングとの間に対立はありませんし,あれかこれかという二者択一の問題ではありません。

    Q.4 一人一人に応じたシステムにすべきですか,それともクラス単位でのシステムにすべ きですか?

    A.4 子どもは一人一人が自分専用のコミュニケーション・システムを持つべきです。それはどこに行くにも子どもについて行きます。あたかも子どもの身体の一部であるかのようにです(車椅子や整形外科用靴のように)。そして子どもは自分のコミュニケーション・システムに関して責任を持つことを学ばねばなりません。ある場面から別の場面に,教師や親がコミュニケーション・ブックを持って移動すべきではありません。

    メニューや部屋毎のシステムもきわめて有用です。これはボードの形にして,その場に特有の語彙を含めます。例えば,お風呂場のボードには,せっけん,タオル,風呂場用の玩具の絵カードを貼っておきます(そのような絵カードが,好子を表していたり,ルーティンの中で教えた語彙を表していたりするなら)。さらに言うと,複数の絵カードを貼るのは,子どもがフェイズV(弁別)を習得してからです。冷蔵庫のドアには,いろいろな食べ物の絵カードを貼っておくこともできるでしょう。学校では,運動のエリアのボードに,道具の絵カードを貼っておけるでしょう。

    忘れてはならない重要なことは,場面専用のボードがある家庭や教室を出るときには,携帯できるシステムが子どもには必要だということです。このことの意味は,そのようなボードに貼ってある語彙の絵カードの多くについては,同じものをその子のコミュニケーション・ブックにも入れておく必要があるということです。家庭で役に立つことが分かっている方法の1つは,コミュニケーション・ブックの中のページを,《メニュー》ボードとして使い,家の中のいろんな場所に掲示しておくというものです。 こうすれば,外出するときに,各ページを集めてコミュニケーション・ブックにもどすだけで,さっさと出かけることができます。

    Q.5 PECS が適しているのはどんなタイプの子どもや大人ですか?

    A.5 今のところ,どんな人にPECSが適しているかを正式に評価する方法はありません。しかし,いくつかの基本的な問が役に立つかもしれません。

    1.その人は,現在しかるべき機能的コミュニケーション・システムを持っていますか?すなわち,その人は,自分の欲求や要求を他者に伝えることができますか?

    2.その人が伝えようとしているメッセージを,他の人たちは常に理解していますか?

    3.その人が現在使っている言語構造は,その人に必要な複雑さに達していますか?言い換えると,その人が伝えるメッセージは,その人にとって重要な詳細をすべてカバーしていますか?

    4.どのような条件下で,その人はコミュニケーションを取っていますか?自発的?応答的?模倣的?機能的コミュニケーションと言えるものならすべて,自発的なコミュニケーション・スキルと,さまざまな問への応答のコミュニケーション・スキルを含みます。

    上述の問のいずれかの答が「いいえ」なら,その子どもはPECSの候補者です。絵カードを交換する運動スキルを持ってさえいれば。


    〜フェイズT〜

    Q.1 トレーニング・セッションは,どれくらいの時間続けなければなりませんか?

    A.1 一言で言うと,その子どもの興味を引くことができる限りです。1試行しかできないこともあれば,子どもの自発が続く限り20 試行でも実施できることもあります。あなたが見せるものに子どもが興味を失ったら(すなわち,アイテムに手を伸ばさなくなったり, 交換を始めようとしなくなったりしたら),次の方法のいずれかをとることができます。

    1.好子を換えて,セッションを続ける。

    2.セッションを終える。

    PECSのセッションを始めるに当たって知っておくとよい秘訣は,飽和状態〔訳注:欲求が満足された状態〕になったり,飽き飽きしてしまったりする前にセッションを終了することです。レッスンのポイントは,子どもの意欲(モチベーション)が高いときにコミュニケーションを子どもが学習することであり,《この新しいスキルをあなたが教えたいから子どもが学習する》のではありません。 上述の選択肢の2番目は,トレーナーの1人が,《従来型の》言語訓練セッションを行なっている言語聴覚士の場合には,ジレンマを引き起こします。《従来型の》言語訓練セッションは通常20〜30分行ないますが,もし早々に切り上げられると,他の人たちが予定を調整しなければならなくなります。

    このために,そして他の理由もあって,PECSトレーニングを行なう言語聴覚士にとっての《サービス提供》モデルとして最もよいと私たちが思うのは,機会が生じたときはいつでもセラピストが使えるが,子どもとのやりとりに一定責任時間を費やさないでよい統合的モデルです。言語サービスが統合された場面では,セラピストは通常,教室の日課に積極的に関わります。そしてその結果,セラピストは,通常の教室活動の中で子どもとやりとりをすることになります。

    フェイズTのセッション/トレーニングでは,トレーナーは2人必要となるので,トレーナーを2人用意することがもう1つの制約となります。もう1人のトレーナーがその場を 去らねばならないために,セッションを短縮しなければならない場合もあります。セッションがひとたび終了したら,次のトレーニングの機会を作るまで,アイコンは取り去るべきです。

    Q.2 フェイズTでは何枚の絵カードを使うのですか?

    A.2 絵カードの数は,好子アセスメントと,フェイズTの習得に必要な試行/セッション等の数によります。1枚の絵カードを使って,10回以内の試行でフェイズTを習得する子どもや大人を,多く見てきました。だから,そういう場合,使った絵カードは1枚だけです。もっと時間の必要な子どもの場合,絵カードの数は,子どもが非常に好むアイテムの数や,フェイズTのトレーニング中の活動に子どもがどのように関わるかによって決まります。もし,好子アセスメントで,とても好きなアイテムが5つ確認できたら,その5つのアイテムをフェイズTですべて使うべきです(ただし,1 度に1つのアイテムとその絵カード)。一方,2 ,3のアイテムしか確認できなければ,その2,3のアイテムと絵カードだけを使います。

    Q.3 はじめてPECSを実施するときは,おやつの時間のような1つの場面でだけ絵カードを使うべきですか?

    A.3 フェイズTのトレーニングの最初の試行は,通常,とても構造化された状況で実施します。それまでの活動から子どもを取り出して,フェイズTを教えることもあるでしょう。もし,トレーニングの初日にフェイズTが習得できなかったら,いろいろな場面でトレーニングを行なうことが大切です。忘れてはならないこと:このトレーニングを行なうためには,トレーナーを2人用意することがきわめて重要!

    Q.4フェイズTにかなり長い間取り組んでいますが,子どもはアイコンの交換を自力で行なうことができません。何が問題なのでしょう?

    A.4 フェイズTでスキルを習得してもらうためには,以下の点に取り組む必要があります。

    1.あなたが使っているアイテムをアセスメントしましょう。そのアイテムは本当に好子になっていますか? もう一度,好子アセスメントを行なって,一日を通して好子が《自由に(タダで)》手に入らないように,トレーニング環境作りをしっかり計画しましょう。

    2.交換を教えるのに,トレーナーを2人用意していますか? 最初のトレーニングを正しく行なっていないと,たいていの子どもは自力で交換できるようにはならないでしょう。

    3.子どもがアイテムに向かって自発的に行動してから(すなわち,手を伸ばしてから),交換をプロンプトしていますか?可能性のある問題点を明らかにして,教え方を修正しましょう。

    注意:一部の子どもは,学習速度がとても遅い。あなたが教えている子どものスキル習得速度がとても遅いなら,PECSについても,その習得はとてもゆっくりしたものかもしれません。しかし,好子を正しく選べば,習得ペースはたいてい速くなるでしょう。忘れてはならないことは,好子は子どもの視点で決めるのであり,決してトレーナーの視点で決めてはならないということです。

     
    〜フェイズU〜

    Q.1 授業中,生徒には席を立ってほしくないのですが,持続性というスキルは重要で教えなければならないこともわかっています。この2つを両立させることはできますか?

    A.1 機能的コミュニケーション・システムとしてことばを使える子どもは,さまざまな手段で私たちの注意を引きます(例:挙手する,私たちを呼ぶ,私たちのところにやってくる,私たちの肩をたたくなど)。

    PECS を使っている子どもたちも,必要なときに私たちの注意を引くために,同様の手段のいくつかを教わらなければなりません。その必要性を満たすために,世間に受け入れられる手段を教えないと,別の手段〔訳注:しばしばいわゆる問題行動〕を見つけるにちがいありません。あるいは,子どもたちは,私たちの注意を引こうとはしなくなったり,コミュニケーションに関して受身の態度をとったりするようになるでしょう。すべての教室で秩序は重要な側面であることは認めつつ,他の授業をできるだけ妨げないでフェイズUを教えることができる時間を見つける必要があります (例:運動場で,自由時間のとき,選択時間のときなど)。コミュニケーションを取るために席を立つことを重視し,それが,世間では受け入れられないような行動に取って代わる望ましい行動となるようなレッスンを計画することもあります。言いたいことは,「柔軟であれ。そして子どもに持続性を教える方法を,できれば2つ以上見つける努力をせよ」ということです。確かに,部屋を横切ることは,コミュニケーションを持続させる1つの方法ですし,挙手しコミュニケーション・パートナーを待つことは,もう1つの方法でしょう(挙手していることにコミュニケーション・パートナーが気づく場合だけ,挙手は有効だということは忘れないように)。

    もう1つちょっと忘れてはならないことは,このシナリオでの子どもはいつもコミュニケーション・ブックを持っているはずだということです。それなら1日を通しての移動量は減るでしょう。しかし,とくにお勧めしたいことは,コミュニケーション・ブックを常時持たない場合に,それを一定の場所に置いておくことを特別に教えることです。もし,子どもが「逃げ出す」ことをあなたが心配しているなら,子どもが席を立ったときに(そしてこの行動があなたの標的になっているなら),やってみるとよい方法の1つは,コミュニケーション・ブックを教室の出入り口とは反対の位置に置いておくことです。あるいは,子どもがいつも走って行くのとは別の場所に置くことです。こうすると,子どもが席を立ったら,正しい方向に(コミュニケーション・ブックのある方向に)向かっているのか,逃げ出そうとしているのかを,すぐにアセスメントすることができるでしょう。

    Q.2 運動障害のある子どもの場合はどうでしょうか? どうすればコミュニケーショ ン・システムを持続させることができるでしょうか?

    A.2 コミュニケーション・ブックやコミュニケーション・パートナーのところまで移動することができない子どもには,同じスキル(コミュニケーションを持続させること)をちょっと違ったやりかたで教えます。このような子どもは,コミュニケーション・ボードやブックが1 日中子どものそばになければいけません。運動計画スキルmotorplanning skills次第で,コミュニケーション・ブックは車椅子の背面や側面にかけておいてもいいでしょう。コミュニケーション・ブックのために移動性がさらに妨げられるようなことがあってはなりません。

    そこで,このような子どもたちがコミュニケーション・パートナーに近づく方法を考えなければなりません。このスキルを教えるために,私たちはさまざまな呼び出しスイッチを使ってきました。指導手順を少し変えなければなりませんし,やはり身体プロンプターに頼ることになります。まず(コミュニケーション・パートナーを呼ぶ)スイッチを押すことを子どもに教えます。そしてアイコンを交換する前にコミュニケーション・パートナーを待つことを教えます。

    初めのうち,待ち時間はごく短めにしなければなりません。その待ち時間で子どもがうまくやれてから,待ち時間を長くしていきます。ベルや他の信号装置を使っているチームもあります。こういったものを使うときは,子どもが教室や家庭でそれを使えるようになっても,その音や信号に周囲の人が耐えられるということを確認しておくべきです。



    〜フェイズV〜


    Q.1 弁別レベル(フェイズV)をいつ始めるかは,どのように決めるのですか?

    A.1 フェイズUはPECSトレーニングの全期間を通じて続けなければなりませんので,当然ながらフェイズUとフェイズVとは一部重なります。例えば,絵カードを渡すためにコミュニケーション・パートナーのところまで行くことは習得したのですが,絵カードを取りに行くことは未だ習得中という場合,弁別トレーニングを開始してもかまいません。しかし,忘れてはならないことは,一度に行なうレッスンは1つだけにすべきだということです。フェイズVで新しいレベルの弁別に積極的に取り組んでいるときには,子どもに移動をさせるべきではありません。フェイズUに焦点を合わせたレッスンは別にしてスケジュールに組み込むべきです。

    忘れてはならない重要なことは,フェイズUには終りがないということです。PECSの決定的に重要なことは,子どもは粘り強いコミュニケーター−コミュニケーションをプロンプトされるのを待つ人ではなく,口うるさい人〔絵カードうるさい人〕−になることです。子どもにコミュニケーション・ブックを手渡したり,子どものところまで行って絵カードを受け取ったりすることは,子どもが依存するようになる合図です。6-12枚の絵カードをフェイズUで使えるようになったら,弁別トレーニングを始めます。絵カードは一度に1枚だけ提示してきたことと,1日のうちでも好みが変 わったら絵カードも変えてきたことを思い出してください。

    Q.2 新しい語彙を加える時期はどのように判断するのですか?

    A.2 好子アセスメントを頻繁に行なうと,新しい語彙を加える必要があることがわかります。一度に提示する絵カードは1枚だけにしている限り,フェイズTとUで使う絵カードの数に限りはありません。フェイズVでも,これまでに使ったのと同じ絵カードをすべて使いますが,子どもが取り組んでいる弁別レベルでということです。役に立つことは,好子アセスメントを行なうことと語彙選択用ワークシート(PECS トレーニング・マニュアルの中にあります)を使うことです。応答やコメントを導入してからは,子どもが習得できる速さで新しい語彙を加えていくことができます。

    Q.3 私が関わっている子どもはフェイズVでつまずいてしまい,弁別は絶望的です。他に方法がありますか?

    A.3 他の方法を考える前に,フェイズVを教えるために使ってきたトレーニング手順を,チームでアセスメントすることをお勧めします。

    1. とても好きなアイテムと好きではないアイテム,あるいは状況に関係のないアイテムから始めましたか?

    2. 4ステップ・エラー修正法を一貫して用いましたか?

    3. 弁別トレーニングでの新しい行動はすぐに強化しましたか?

    4. 効果を判断するのに十分な時間をかけて,上記のやり方を粘り強く続けましたか? このレベルのトレーニングに十分なだけの試行を,毎日行ないましたか?

    5. さらに,このレベルのトレーニングの機会と,これまでに習得したレベルのトレーニングの機会とを,1日を通して毎日行なっていくべきだということを,肝に銘じてください。

    フェイズVa(弁別トレーニングの最初のレベル)を正しく実施しても,記録上進歩が見られなかったら,別の方法を探すべきです。使える別の方法はいずれも,レッスンの一部(すなわち,選択肢の示し方)を変更します。そのような変更は,子どもがうまくやれるようレッスンに加えるプロンプトの変更という形をとることがよくあります。うまくできるようになったら,こういったプロンプトは控えていかなければなりません。弁別トレーニングの別のやり方については,2デイ・ワークショップのレジュメやPECSトレーニング・マニュアルで復習して下さい。


    〜フェイズW〜

    Q.1 好子アイコンを文カードに貼る前に,〈ください〉アイコンを文カードに貼るのは,もし正しい順序で並べていたらOK ですか? 〔訳注:原文は好子カードと〈ください〉カードが逆ですが,日本語の語順にして訳しました。それでよいとボンディ先生はおっしゃっています。〕

    A.1 トレーニングのこの段階では,文カードを正しい順序で子どもが「読み続ける」あるいは指差すかぎり,この反応を正しいと考えます。この行動については,後々のトレーニング(属性以降)で3枚以上のアイコンを使うときに,よく注意しなければなりません。

    依然として重要なことは,正しい並びで絵カードを文カードに貼ることでしょう。文カードに貼る絵カードがどんどん増えるにつれ,絵カードの正しい並びが子どもには分からなくなったら,文頭にくるカードから順に文カードに貼っていくことを教えなければなりません。忘れてはならないことは,これが行動連鎖のエラーだということであり,したがってバックステップ・エラー修正法が必要だということです。一部の子どもは,両手で同時に文カードを作る−片方の手で〈ください〉アイコンを取り,もう片方の手で好子アイコンを取る−ことをします。2枚の絵カードを同時に文カードに貼りつけるのです。これも,かまいません。実のところ,このやり方で時間が節約でき,文カードを早くコミュニケーション・パートナーの手の中に入れることができるのです。

    Q.2 誰が文カードの絵カードをはずしてコミュニケーション・ブックにもどすのですか?

    A.2 最初は,コミュニケーション・パートナーが文カードの絵カードをはがし,絵カードと文カードをコミュニケーション・ブックにもどすべきです。そうやって,次の使用の準 備をします。ペクス使用者にそれをさせることは,コミュニケーション行動を不必要に遅らせることになります。中には,絵カードを自分でもどすことにこだわる子どももいます。これは素晴らしいことです! このことは,子どもが地域活動に参加するにつれて,当然のことながら習得する必要があることです。絵カードと文カードがなくならないうちに,文カードを〈素人のコミュニケーション・パートナー〉から取り返すわけです。このスキルを教えるときは,ことばのプロンプトではなく(例:「あなたの絵カードをかたづけなさい」),身体プロンプトとジェスチャーを使うことを私たちは勧めます。このレッスンに加える身体プロンプトあるいはジェスチャーは,ことばのプロンプトよりはるかにフェイド〔控えていくこと〕しやすいはずですし,この新しいスキルにより,できるだけ早く自立を促進することになるでしょう。

    Q.3 私が関わっている子どもは,文カードを作りながら,あるいは私が文を読んでいる間,声を発するのですが,一貫性がありません。

    A.3 フェイズWおよびそれ以降は,ことばを促す上では分化強化に頼ります。PECS のこの段階で,時々,声らしいものが聞かれたり,明瞭に発音されたことばが聞かれたりすることがあります。遅延プロンプト法により,発達しつつあることばのスキルを使う機会 を子どもに与えることができます。このようなことばやことばらしきものが出たときには,好子を増やしたり,アイテムで楽しむ時間を長くしたりします〔分化強化〕。子どもへのメッセージは,「ことばは素晴らしい,でもことばを発することが容易ではない時でも,機能的コミュニケーション・システムは働き続ける」というものです。

    Q.4 いつ属性を導入するのですか?

    A.4 属性は,フェイズWが終了してから(すなわち,子どもが自力で「 +〈ください〉」という文を作って,文カードをコミュニケーション・パートナーと交換できるようになってから)導入します。この時点で,特定の属性に基づき,子どもの視点から重要となる好子の特定を,チームは始めるべきです。最初は,色・サイズ・形をよく導入します。同時に,質問への応答(フェイズX)に関係するレッスンもアレンジするべきです。そのレッスンは,あなたが計画する属性レッスンとは別に行ないながら,属性が焦点になっているPECS手順の残りを続けることが重要です。


    〜フェイズ V〜

    Q.1 自発的要求がとても上手なので,「何がほしいの?」とすぐに質問することができない場合があります。この質問への応答スキルをどうやって教えればよいのでしょうか?

    A.1 これはよくあることです。このスキルを教えるために,トレーニング環境を少し変更してみます。PECSのフェイズの多くで,トレーニング・セッションの初期に,レッスンに関するアイコンをコミュニケーション・ブックの表紙に貼ることを,私たちはよく勧めますが,そうすると,ご質問の行動を実際には促進するかもしれません。その子のアイコンは,〈ください〉アイコンも含め,すべてコミュニケーション・ブックの中にしまいましょう。こうすると,アイコンを手に取ることが少し遅れますので,あなたに質問の時間ができるでしょうし,コミュニケーション・ブックを開けるための遅延プロンプトになるでしょう。このことは,必然的に文構成の始まりとなります。やはり1日を通して自発的要求の機会を必ず与えることが大事です!


    〜フェイズ VI〜

    Q.1 子どもはみな,フェイズYにたどり着くのですか?

    A.1 チームでアセスメントして,人的好子が子どもにとって有力ではないことが分かったら,フェイズYを延期することもあります。多くの子どもや大人にとって,最強の好子を自発的にも応答的にも要求できるようになることは,とてつもない成果であり,そのことによって,とてもほしい物を穏やかに手に入れることができるようになるのです。コメントの段階に入っていくと,新しいことばや概念を教える機会を,たくさんもつことができます。しかし教育期間中の,あるいは人生のこの時点で,その人にとって最も重要なニーズと合っていないかもしれません。

    Q.2 私が関わっている子どもは,高度に構造化された場面ではコメントすることができるのですが,レッスンをどんなに創造的なものにしても,自発的にはコメントしようとしません。さまざまなコメント質問に答えてコメントすることで終わってもOK でしょうか?

    A.2 これは前述の質問と似ています。人的好子では格別意欲が高まらない人の場合,よくこういうことが起こります。構造化された場面では,新しい語彙や概念をコメントによって教える機会が豊富に持てることでしょう。そして将来いつか,こういった人的好子が重要になり,自発的コメントが出てくるようになるかもしれません。それは誰にも分かりません。忘れてはならないことは,いろんな場面で,いろんなコメント・レッスンを計画して,コメントは,高度に予測可能な場面だけではなく,さまざまな場面で使うことができるスキルだということを教えましょう




    絵カード交換式コミュニケーション(PECS)をめぐる俗説と誤解

    このおよそ10 年間で,頭文字PECSは,自閉症療育の分野ではよく知られるようにな りました。多くの人がPECSについて聞いたことがあるでしょうが,本当の絵カード交換式コミュニケーション・システム(PECSc )について多くの俗説や誤解もあります。以下に要約したのは,最もよく聞く俗説のいくつかです。

    「何であれ絵カードさえ使えば,それはPECS だ。」
    たしかにPECSでは絵カードを使います。ただしPECSは,欲求や要求を伝え,周囲の世界についてコメントするために,絵カードを表出的に使うことを教える特別な手順プロトコルなのです。この手順には,6つの明確な指導フェイズだけでなく,言語に属性(例えば,色やサイズ)を導入する方法が入っています。これは,応用行動分析の分野からの知識と,言語病理の分野の知識とを組み合わせて,機能的コミュニケーションを教えるための効果的かつ効率的な方法になっています。指導手順は,現在アンディ・ボンディ博士とロリ・フロスト言語聴覚士(SLP/CCC)が1985 年に開発し,最新版のマニュアル『PECS トレーニング・マニュアル第2版(Bondy & Frost, 2002;門眞一郎監訳,(株)From A Village(フロム・ア・ヴィレッジ), 2006)で詳しく説明されています。このトレーニング・マ ニュアルは,利用可能な最も革新的なシステムの1つへの実践的なガイドとして,コミュニケーションと行動分析の専門家から認められています。

    「視覚的スケジュールを使っていれば,それはPECS だ。」
    PECSは,重度のコミュニケーション障害の人のための表出性コミュニケーション・システムです。視覚的スケジュールは,受容性〔理解〕コミュニケーションに関するものです。PECS はピラミッド教育法(Pyramid Approach to Education)の一部なのですが,そのピラミッド教育法自体は,視覚的スケジュールも使います。視覚的スケジュールすなわちPECS なのではありません。

    「PECS は,まったく話せない人だけのものである。」
    PECSは,とても効果的な機能的コミュニケーション・システムを,音声言語がまったくない人に与えることができますが,言葉を話せる人にも重要なスキルを教えることができます。PECSの手順で力説されるのは,コミュニケーションというやりとりを他者対して開始するやり方を教えるということです。言葉は話せるかもしれませんが,それが対人接近を必要とすることが分かっていない人がいます。すなわち,だれもいない部屋や冷蔵庫に向かって話している人がいます。このような人たちは,PECSによって対人接近を習得することができるでしょう。言葉は話せるかもしれませんが,問われたり話しなさいと言われたりした場合にのみ,話す人もいます。このような人は,自発的,自己先導的なコミュニケーションを,PECS によって習得するでしょう。PECSは,話せない人には代 替コミュニケーション・システムとなり,話せる人には拡大コミュニケーション・システムとなります。

    「PECS は,年少児だけのものである。」
    PECS は,世界中で,生後14か月から85歳までの人に使われてきました。年齢やコミュニケーション障害のタイプによって,習得プロセスは異なるでしょうが,PECSは年齢に関係なく,効果的で機能的なコミュニケーション・システムとなります。

    「PECS は要求することを教えるだけだ。」
    要求はPECSで最初に教えるスキルですが,手順の最後のフェイズでは,コメント(例:見える,聞こえる,臭うなど)を教えます。PECSは,要求や欲求をただ満足させるだけの人間にするのではなく,自分の周囲にいる他者とコミュニケーションをとる人間にするのです。 「PECSを使って何かを要求する場合,その要求をかなえなければならないとすると,子どもを《甘やかす》だけにならないか。」 PECSの手順では,フェイズTとフェイズUにおいては,要求はすべて受け入れます。このフェイズは,PECSを習得中の人がコミュニケーション・システムを信頼するようになる時期だからです。もし,「だめ」と言うことを早く始めると,PECSを習得中の人はコミュニケーションを取ろうとしなくなるかもしれません。なぜなら,PECSがいつもうまくいくとは限らないということを,習得中の人に体験させてしまうことになるからです。ひとたびフェイズUを習得した人は,コミュニケーターであり続けると確信できます。そうなれば,人はほしいものを要求することができますが,答えは時には「ダメ」ということもある,ということを教えてもよいということになります。

    「もしPECS を使うと,その人は話すことをおぼえようとはしなくなる。」
    他のどの代替コミュニケーション・システムでも言えることですが,PECSを使う人は,言葉による〔音声言語〕コミュニケーターになる可能性が高くなります。これまでの研究結果によると,PECSを使う人の中には言葉を話すようになる人がいますし,その言葉は PECSを使ったために出てきたと考えられています。しかし,私たちにも分かることは,たとえPECSを使って言葉が出ない人でも,自分の周囲の世界で,多くの人とコミュニケーションをとるための効果的な方法を持っているということなのです。

    「PECS は自閉症の人だけのためのものである。」
    PECSは,米国のデラウェア自閉症プログラム(DAP)で開発されました。ですから,自閉症の療育の中から始まったわけです。しかし,PECSの始まり以来,20年たって分かってきたことは,PECSは,コミュニケーション障害のある様々な人たちの有効なコミュニケーション・システムとなりうるということなのです。PECSの対象は,自閉症,ダウン症,猫鳴き症候群,アンジェルマン症候群,発達遅滞,言語障害,発達性運動性失語症,頭部外傷...リストはさらに続きます。


    まとめると... 絵カード交換式コミュニケーション・システム(PECSc , Bondy & Frost,2002)は,ユニークな拡大/代替コミュニケーション・トレーニング手順であり,コミュニケーションの自発という面に着目する点で世界中に広く認められています。PECSでは,複雑な装置や,高価な教材を必要としません。PECS は,教師や居住施設のケア担当者,家族を念頭に置いて開発されました。ですから,いろいろな場面ですぐに使えます。様々なコミュニケーション障害,認知障害,身体障害の人に役立つコミュニケーション・システムです。絵カード交換式コミュニケーション・システムについての研修は,ピラミッド教育コンサルタント社(Pyramid Educational Consultants)を通じて行なわれています。これは, アンディ・ボンディとロリ・フロストが率いる世界規模のグループ会社です。オーストラリアのピラミッド社のコンサルタントたちは,Dr.ボンディとMs.フロストの専門知識や技術を維持し,修正が施されるPECS手順をすべて改訂するために,おふたりと緊密にチームを組んで活動しています。


    よくある質問(英語)
    Questions that are often asked

    What do I need to prepare for each person prior to beginning PECS?

    The most critical element to the success of PECS is identifying a set of potent reinforcers.  When potent reinforcers are identified, the first couple of Phases of PECS tend to be very easy to teach and for the person to learn.  Once reinforcers have been identified, those items will need to be carefully monitored so the person does not have free access to them.  If these items are available at all times, they will not prove to be highly motivating during your initial PECS lessons.  Icons will need to be developed prior to your first PECS session.  The symbol set does not matter in the early stages of PECS.  We recommend you identify a symbol set that is easy for you to reproduce and maintain.  If changes in the symbol set are needed, those will be made in Phase III.

    The person I am thinking about for PECS is not able to match.  Should we postpone the introduction of PECS until these skills have been mastered?

    PECS begins by teaching the important communication skills of “how to communicate” and “how to be persistent with communication.”  We begin by using single icons in the first two Phases of PECS.  These important skills are taught using one icon at a time to parallel typical language development.  Very young children are able to communicate long before they develop their first words.  In a similar fashion, we teach the “art of communication” via PECS first and then focus on building a vocabulary in Phase III.  Therefore, matching skills are not necessary prior to beginning PECS.  Specific teaching strategies are utilized in Phase III to teach discrimination of the icons.  These teaching strategies have been effective with children who previously were not able to master a variety of match-to-sample lessons.

    What about imitation, especially verbal imitation?

    Imitation is an extremely important skill.  Many children with autism and related disabilities demonstrate very poor imitation abilities.  Imitation may involve body actions (i.e., clapping hands), manipulating objects (i.e., bouncing a ball), or vocal acts (i.e., sounds, words, or phrases).  If a child does not imitate one of these behaviors, it is very important to teach the skill.  One of our primary premises is that it is not necessary to be able to imitate a word in order to effectively communicate.  Many of the children with whom we have worked have acquired important functional communication skills via PECS while they have improved their imitation skills, including vocal imitation.  For many of these children, when their vocal imitation skills significantly improved, they have been able to imitate the words corresponding to the phrases they construct via the sentence strip.  However, in our view, during the period of time that these children were acquiring imitation skills they still were not able to communicate in a functional manner via speech.  Therefore, we strongly suggest that while children are taught PECS, parents and staff continue to put an emphasis upon teaching imitation skills.  However, it is best to teach one skill per lesson.  Therefore, PECS and verbal imitation lessons should not be merged.  Requests via PECS will be honored as a legitimate form of communication.  Opportunities to engage in imitation should be offered at other times throughout the day.  Many staff and parents work on vocal imitation within activities during which communication is not necessary (i.e., during free play when the child has unlimited access to toys).  Many staff conduct a morning-circle routine to promote imitation of words/sounds, sometimes within a song or other established routines.  In short, there is no conflict between PECS and imitation training, nor is it an either/or decision.

    Should we use individual systems or classroom-based systems?

    Each student should have his/her own communication system that goes with him/her wherever he/she goes.  The system is treated as if it is part of the child (like a wheelchair or orthopedic shoe) and the child must learn to be responsible for it.  It should not be up to the teacher or parent to carry the book from setting to setting.  Menus or room-based systems are extremely useful, too.  These can be boards that contain vocabulary specific to the location.  For example, in the bathroom, there might be a board containing pictures of soap, towel and bath toys (as long as these icons represent reinforcers or vocabulary that has been taught within a routine).  Additionally, multiple icons should only be presented once a person has mastered Phase III (discrimination).  On the refrigerator, you could keep pictures of various food items.  At school in the motor area there might be a board containing pictures of the equipment.  What is important to remember is that the student needs a system that he can take with him when he leaves the home or classroom where the location –specific boards are located.  This typically means that much of the vocabulary on those boards will need to be replicated in the child’s communication book.  One strategy we have found helpful in homes is to use pages within the communication binder as the “menu” boards that will be posted around the house.  This way, when you leave the house, you merely have to collect the pages and snap them back in the book, and you’re on your way!

    What types of children and adults are appropriate candidates for PECS?

    Currently, we do not have a formal evaluation for folks who might be good candidates for PECS.  However, a couple of basic questions may help guide your thinking.

    1. Does the person have a functional communication system currently in place?  That is, can the person make his/her wants/needs known to others? 
    2. Do others understand the messages he/she tries to communicate consistently; including those he/she interacts with infrequently? 
    3. Are the language structures the person currently uses as complex and sophisticated as they need to be?  In other words, are the messages this person conveys sufficient to cover all of the specifics that may be important for him/her?
    4.  Under what conditions does this person communicate?  Spontaneous, responsive or imitative?  Any functional communication system would include the skills of spontaneous communication and communication in response to a variety of questions

    If your answer to any of these questions is “NO,” then your student is a likely candidate for PECS, given he or she has the motor skills to exchange a picture.

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    Phase T

    How long should a training session last?

    Very simply put, as long as you have the student’s interest.  You can conduct one trial or you can conduct 20 trials as long as you student continues to initiate.  Once your student is no longer interested in what you have to offer (i.e., doesn’t reach for the item or begin the exchange), you have two alternatives:

    1. Switch reinforcers and continue the session
    2. End the session

    The tricky bit about beginning PECS sessions is to end the session PRIOR to satiation or boredom.  The point of the lesson is to learn to communication when motivation is high, not “learn this new skill because I want to teach it.” 

    The second course of action listed above creates a dilemma when one of the trainers is a speech/language pathologist conducting a “traditional” speech/language session.  “Traditional” sessions typically last 20-30 minutes and if cut short, the result is that other people have to adjust their schedules.  For this, and other reasons, we feel that the best “service delivery” model for speech/language pathologists conducting PECS training is an integrated model where the therapist is available to conduct one trial whenever the opportunity arises and isn’t committed to interacting with the student for any minimum amount of time.  In a setting where speech/language services are integrated, the therapist typically is actively involved in the daily classroom schedule and, consequently, is interacting with the students throughout regular classroom activities.

    Since two trainers are necessary for Phase I sessions/training, another constraint will be the availability of two trainers.  Sometimes sessions must be cut short because the second trainer must leave.  Once the session has ended, the icons should be put away until another training opportunity can be arranged.

    How many pictures do you introduce in Phase I?

    The number of pictures is dependent upon the reinforcer assessment and the number of trials/sessions, etc. needed for the student to master Phase I.  We have seen many children and adults learn the first Phase in fewer than 10 trials, so only one picture was introduced.  For students who need more time, the number of pictures is determined by the number of strong preferences and how they relate to activities occurring when Phase I training is conducted.  If, during your reinforcer assessment, you identified 5 highly preferred items, then these 5 items should all be introduced in Phase I (one-at-a-time, along with the corresponding icon).  If, on the other hand, you only identified 2 or 3 items then you would only introduce those corresponding pictures.

    Should I just use the pictures in one setting such as snack when I first start teaching the program?

    The very first trials within Phase I training typically take place in a very structured format.  The student might be removed from ongoing activities initially to teach Phase I.  If Phase I mastery is not reached the first day of training, it is important to conduct training in a variety of settings.  REMEMBER: it is very important to have two trainers available to do this training!

    We have been working on Phase I for quite some time, and the child is not independently exchanging the icon.  What could be the problem?

    The following areas may need to be addressed to help skill acquisition in this Phase. 

    1. Assess the items you are using.  Are they indeed potent reinforcers?  Conduct another reinforcer assessment and be sure to engineer your environment so that reinforcers are not “free” throughout the day.
    2. Have you been using 2 trainers to teach the exchange?  If correct initial training has not been conducted, then most children will not learn the independent exchange.
    3. Have you been waiting for the child to initiate (i.e., reach) toward the item BEFORE prompting the exchange?

    Identify potential problem areas and adjust your teaching. 

    Note:  some children have a very slow learning profile.  If the student you are working with typically learns skills at a very slow pace, then PECS may also be learned quite slowly.  However, when we get the reinforcers right-the pace or learning will generally pick up!  Remember, these MUST be reinforcers from the child’s perspective, not ours.

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    Phase U

    I don’t want my students getting up out of their seats throughout the school day, however I realize that persistence is an important skill to teach.  How can I reconcile these issues?

    Children who use speech as their functional communication system have a variety of ways to get our attention (i.e., raising hands, calling out to us, coming over to us and tapping us on the shoulder).  Our children who use PECS should be taught some of the same strategies as a means of gaining our attention when they need us.  If we do not teach socially acceptable ways for them to meet these needs, they will certainly find other ways to do so, or they will simply not try to get our attention and become passive about communication.  While we recognize that order is an important aspect of all classrooms, we may need to identify times of the day when Phase II can be taught with minimal interruption to the rest of the class (i.e., playground, free play, choice time, etc.).  We might also design lessons where getting out of seats in order to communicate is the focus and is an acceptable alternative to other not-so-socially-appropriate behavior.  The message is, be flexible and try to identify perhaps more than one way to teach your students to be persistent.  Certainly, moving across the room is one way to be persistent with communication, raising a hand and waiting for a communicative partner is another option (keep in mind that raising a hand will only be effective when the communicative partner notices that the hand is raised).  Another bit to remember is that the child in this scenario should have his communication book with him at all times.  This will decrease the amount of movement necessary across the day.  However, we do recommend specific lessons that teach him to locate his communication book when it is not nearby as well. 

    If you are worried about your student “running away,” when he gets out of his seat, and this is a behavior you are targeting, one strategy to try is keeping the student’s book in a location on the opposite side of the classroom from the door or any other area to which he typically runs.  This way, if he gets out of his seat, you will be able to assess very quickly whether he is heading in the correct direction (toward his book) or is running away.

    What about the child with mobility difficulties?  How can he be persistent with this communication system?

    We teach the same skill (persistence with communication) in a slightly different manner to children who are not able to traverse distances to his/her communication book and communicative partner.  These children should have access to their communication boards or books at all times.  Depending upon their motor planning skills, the communication book may be hung on the back of the wheelchair or to the side.  We must insure that the communication book does not further inhibit mobility though.  Then, we must adapt the ways in which these students access their communicative partners.  We have used a variety of call switches to teach this skill.  We must change the teaching protocol a bit and will still rely upon the physical prompter.  The child will be taught to first hit the switch (that will call the communicative partner) and then WAIT for the communicative partner before exchanging the icon.  Initial wait intervals should be very short and will only be extended once the child is successful with these initial intervals.  Some teams have used bells and other signaling devices.  When these are used, be certain that you will be able to tolerate them in your classrooms/homes once they have been mastered.

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    Phase V

    How do you determine when to begin the discrimination level (Phase III)?

    Because Phase II should continue throughout all of PECS training, there obviously will be some overlap between Phase II and Phase III.  For example, if a child has learned to go to the communicative partner to give the picture, but is still learning to go get his picture it is okay to begin discrimination training.  But remember, only one lesson should be taught at a time.  When you are actively working on a new level of discrimination in Phase III, then the student should traverse no distance.  Other lessons that focus on Phase II should be scheduled throughout the school day.   What is important to remember is that Phase II never ends.  The crucial component of PECS is that the student be a persistent communicator-one who nags rather than one who waits to be prompted to communicate.  Handing the student his communication book or going to the student to receive a picture are cues on which the student may come to depend.  We begin discrimination training once the student has 6-12 pictures in his repertoire during Phase II.  Remember, these have ONLY been presented one-at-a-time and have been changed as preferences change across the day.

    How do you decide when to introduce new vocabulary?

    New vocabulary is added when the frequently conducted reinforcer assessment shows the need.  The number of pictures used in Phase I and II is unlimited as long as only one picture at a time is presented.  Again, in Phase III, all of the same pictures are used, but at the discrimination level at which the child is working.  We find it helpful to conduct the reinforcer assessment and to use a vocabulary selection worksheet (one can be found in the PECS Training Manual).  Once question answering and commenting have been introduced, new vocabulary can be added as quickly as the student can learn it.

    My student is stuck on Phase III and discrimination seems hopeless.  Do I have any alternatives?

    Before offering alternative strategies, may we suggest that the team assess the training procedures that have been used to teach Phase III.

    1. Did the team begin with a highly preferred vs. a non-preferred or contextually irrelevant item?
    2. Was error correction (4-step) used consistently?
    3. Was the team quickly reinforcing the new behavior in discrimination training?
    4. Did the team persist with the above strategies for long enough to determine the effectiveness of the strategy?  Were enough trials at the level of training conducted each day?
    5. Also keep in mind that the team should be providing the student with opportunities at his level of training and at his level of mastery across each day.

    If Phase IIIa (the first level of Discrimination Training) was implemented properly, and progress has not been documented, then alternative strategies should be explored.  Any alternative you use will involve changing some part of the lesson (i.e., how we present the choices).  These changes are often in the form of prompts that we put into the lesson to help the student succeed.  Once we note success, those prompts should be faded.  Refer to your handout packet from the 2-Day Workshop or the PECS Training Manual for a refresher on some Discrimination Training Alternatives.

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    Phase IV

    Is it okay if my student puts the reinforcer icon on the sentence strip before he puts the “I want” icon on the strip, but gets them in the correct order?

    At this stage of training, we accept this response as correct as long as the child continues to “read” or point to the sentence strip in the correct order.  Pay careful attention to this behavior later in the training protocol (attributes and beyond) when the child is using more than two icons.  It will continue to be important to put the pictures on the strip in the right order.  If the child loses sight of this order as he adds more and more pictures to the strip, then he will need to be taught to put the pictures on the strip starting with the sentence starter icon.  Remember, this is a sequential error and will require a Backstep Error Correction Procedure.

    Some children use both hands to create the sentence-they will pull the “I want” icon with one hand and the reinforcer icon with the other hand, but at the same time.  They then add them to the sentence strip at the same time.  This too, is acceptable.  In fact, it saves the child time and helps him to get the sentence strip into his communicative partner’s hand that much more quickly!

    Who takes the pictures off of the sentence strip and puts them back on/in the book?

    Initially, the communicative partner should take the pictures off of the sentence strip, and return them and the strip to the communication book so that it is ready for the next use.  Requiring the PECS user to do so unnecessarily slows the communicative response for him or her.  Some children insist on being the ones to put their pictures back, though!  This is fine!  Essentially, as students become integrated into community activities, they will need to learn to take the sentence strip back from the “lay communicative partner,” so that pictures and sentence strips don’t get lost.  When teaching this skill, we recommend the use of physical prompts or gestures instead of verbal prompts (i.e., “Put your pictures away”).  The physical prompts or gestures you insert into this lesson should be much easier to fade than verbal prompts and will promote independence as quickly as possible with this new skill.

    My student inconsistently vocalizes while constructing the sentence strip or while I am “reading” it to him.  I want him to vocalize EVERY time!  How can I encourage speech without demanding it?

    We rely upon differential reinforcement to encourage speech during Phase IV training and beyond.  We will sometimes hear vocal approximations or clearly articulated words at this Phase of PECS.  The delayed prompting strategy gives students an opportunity to use their developing speech skills.  When we do hear those approximations or words, we will provide more of the reinforcer or a longer amount of time with the item.  The message to the child is that speech is GREAT, but his or her functional communication system will continue to work even on those days where the words are not as easy for them to produce.

    When should I introduce attributes?

    Attributes should be introduced after Phase IV has been mastered (i.e., when the child can independently construct sentences “I want” + _____ and exchange the sentence strip with a communicative partner).  At this point the team should start to identify reinforcers that are important from the child’s perspective based upon a particular attribute.  Color, size and shape are the areas we typically introduce first.  At the same time, lessons related the responding to questions (Phase V) should be arranged.  While these lessons will be separate from the attribute lessons you plan, it will be important to continue with the rest of the PECS protocol while attributes are a focus.

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    Phase V

    I have a student who is so adept at spontaneous requests that I am not able to ask the question “What do you want?” quickly enough.  How can I teach the skill of responding to this question when this occurs?

    This is a common occurrence and we will attempt to change the learning environment slightly in order to teach this skill.  While we often recommend that the icons related to the lesson be placed on the front of the communication book for initial training sessions in many of the PECS Phases, this may indeed promote the type of behavior you are describing.  Try placing all of the child’s icons inside of the communication book, including the “I want” icon.  This will create a bit of a delay to the icons and may allow you the opportunity to ask the question and provide the delayed prompting strategy for the child to open the communication book, which is essentially the beginning of constructing the sentence.  Be sure to provide opportunities for the student to request spontaneously across the day as well!

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    Phase VI

    Will all students make it to Phase VI?

    When a team assesses that socially based reinforcers are not important for a child, they may decide to postpone Phase VI lessons.  For many children and adults, the ability to request their most powerful reinforcers both spontaneously and in response to questions is a tremendous achievement and allows them a calm way to access those things they want most.  Moving into commenting allows us many opportunities to teach a variety of new vocabulary words and concepts; however, this may not match a person’s most critical needs at that point in his/her education or life.  

    My student is able to comment under highly structured situations, but no matter how creative my lessons are, he is not commenting spontaneously.  Is it okay to end with commenting in response to a variety of commenting questions?

    This is similar to the question above and we typically find this happening with folks who are not particularly motivated by social reinforcers.  The team will have a wealth of opportunities to teach new vocabulary and concepts via commenting under structured situations.  And who knows, at some point in the future, those social reinforcers might very well become important and spontaneous commenting may result.  Remember, plan for a variety of commenting lessons in a variety of settings to teach the student that commenting is a skill that can be used in many situations, not just highly predictable situations.

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Picture Exchange Communication System®, PECS®, Pyramid Approach to Education® はアメリカ本部 Pyramid Educational Consultants, Inc.の登録商標です。

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